ミヅマアートギャラリー
注目作家・青山悟
ミヅマアートギャラリーは1994年のオープン以降、スタイルにとらわれない独自の感性を持った日本やアジアの作家を国際的アートシーンに紹介してきました。
会田誠、山口昇といった世界的アーティストを多数輩出し、さらには2008年に北京、2012年にはシンガポールと、海外にもギャラリーを開設しています。
そのミヅマアートギャラリーがかかえる青山悟は、古い工業用ミシンを用いて刺繍作品を発表している若手アーティストです。ロンドンのゴールドスミスカレッジのテキスタイル学科を1998年に卒業後、シカゴ美術館付属美術大学で美術学修士号を取得し、現在は東京を拠点に活動しています。
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青山悟
About Painting /ポール・セザンヌ 2013-2014
紙にポリエステル糸で刺繍 24.2×21.2cm
撮影:宮島径
©AOYAMA Satoru, Courtesy Mizuma Art Gallery
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これまでには『Storyteller』(青森・国際芸術センター青森)や『六本木クロッシング2010:芸術は可能か?』(東京六本木・森美術館)などにも参加。新聞・雑誌記事から戦争や大統領の顔などを写した報道写真を切り抜き、記事の裏側にあるランダムなイメージとともに刺繍したシリーズ『Glitter Pieces』(『六本木クロッシング2010』にて発表)など、刺繍という表現の可能性を広げた作品を発表し続けています。
2012年に目黒区美術館で行われた『メグロアドレス』展では、青山の踏むミシンの映像と音にミニマルミュージック作曲家・平石博一の音楽を掛け合わせた作品を、二人によるインスタレーション新作として発表しており、「ミシン」へのこだわりを持ちながら表現の幅をひろげています。
青山は、ミシンという「情報化産業前の女性労働者の道具」を作品で使うこだわりについて、web情報誌「Time Out Tokyo」でこのように語っています。
「基本的に、僕はミシンがもともと持っている言語でしか作品をつくりたくないんです。その言語というのは、例えば労働、機械、産業革命の頃の匂い、テクノロジー、ジェンダーの問題です。マリア像の作品『Maria』も一見宗教画に見えてもミシンという機械でつくられたプロダクトであることが大前提で、徹底的にニセモノなんですね。言ってみればアートの本道ではないわけです。アートの周辺であるミシンから、本道であるペインティングを批評・揶揄する作品なんです。」( http://www.timeout.jp/ja/tokyo/feature/5429 より)
『MAPPA』に寄せて
そんな青山が今回の個展で意識したのはイタリア人アーティスト、アリギエロ・ボエッティ(1940-1994)の地図作品『MAPPA』です。『MAPPA』はアフガニスタンの100人の女性職人たちの協力によりつくられた、反戦のための国旗の地図です。その作品には職人たちの祈りがあり、ボエッティの哲学的な問いかけがありました。
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青山悟
《Map of the World (Dedicated to Unknown Embroiderers)》制作風景
©AOYAMA Satoru, Courtesy Mizuma Art Gallery
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その作品背景を考察しての『名もなき刺繍家たちに捧ぐ』は「近代化の光と闇」「共同体と個人」「国と社会」など様々な境界線に関わる問題を提示しています。
女性職人たちの手により生み出された『MAPPA』のように、青山悟がつくった、今彼にしかできない世界地図。その青山の世界地図の展示期間は、もうのこりあとわずかです。ぜひお見逃しなく。
▼開催要項
青山悟 展「名もなき刺繍家たちに捧ぐ」
〈会期〉2015年4月22日(水) ~ 5月23日(土) 11:00〜19:00 日・月・祝休廊
〈会場〉ミヅマアートギャラリー
〒162-0843 東京都新宿区市谷田町3-13神楽ビル2F
TEL:03-3268-2500 / FAX:03-3268-8844
〈お問い合わせ〉
ミヅマアートギャラリー ([email protected])
ギャラリー公式サイト http://mizuma-art.co.jp/top.php
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