美大生が主人公の新小説『極彩色の食卓』

美大生を主人公に天才女流画家との奇妙な共同生活を描いた小説『極彩色の食卓』が、2019年6月22日発売となった。「絵」と「料理」を軸に、青年と老婦人の心の交流が描かれる作品のなかには、美大生の共感ポイントがたくさん盛り込まれている。今回はこの新作小説『極彩色の食卓』を紹介する。

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美大生が主人公の新刊小説発売
PARTNERではかつて美大・芸大が出てくる漫画を集めたまとめ記事「もう読んだ? 美大・芸大が出てくる漫画10選」を紹介したこともあるが、今回紹介するのは美大生が主人公の新しい小説だ。

タイトルは『極彩色の食卓』。料理上手の美大生と、生活能力ゼロの天才女流画家の老婦人との不思議な共同生活で始まる、過去持ち二人の秘密と食事の物語だ。主人公は美大生だが、物語は美術大学の外での不思議な出会いから始まり、絵に囲まれた天才女流画家の老婦人の家で展開していく。


あらすじ
夢に挫折し、今を無気力に生きる美大生の燕は、かつて一世を風靡した天才女流 画家の律子に拾われ、生活の面倒を見てもらうことに......。
引き替えとなる条件は、美味しいご飯を作ること。
自分の過去や絵で挫けた事実を隠したい燕は、言われるがままに美味しい食事を作り、律子と一緒に暮らし始める。
でも、そんな彼女にも隠している過去と秘密があるようで――。



生きる力を取り戻していく、心が豊かになる読後感
物語の序盤にこんな一節がある。
「思えば絵ばかり描いていた子どもだった。絵以外、何もできない中学生だった。絵しか見えていない高校生だった。(中略)しかし、高校卒業後に念願の美術大学に入り、燕は初めて挫折を味わった。(中略)筆を握ると誰もが燕よりも上手かった」

そうして絵に挫折して休学、無気力になっていた主人公の青年・燕が、偶然出会った天才女流画家の老婦人・律子との共同生活を送る中で、もう一度生きる力を取り戻していく。壁や天井など至る所に絵が描かれた家、寝食を忘れて作品制作に没頭する画家の姿に主人公の凍った心が解けていく描写は、絵を志す者の心を豊かな気持ちにさせる。文章で紡がれる繊細な青年と老婦人の心情に合わせたかのような色彩表現が絵画的で素晴らしく、そして何より極彩色な2人の食卓風景が読む者を幸せな気持ちにさせてくれる。


入学して3ヶ月、もしかしたら今まさにそんな想いを共有する美大生もいるかもしれない。そんな美大生にはもちろん、鮮やかな色彩溢れる絵画描写にインスピレーションを受けたい人も、まずは手に取って数ページめくってみてほしい。


▼概要
書名:極彩色の食卓
著者:みお
装画:丹地陽子(たんじようこ)
発売日:2019年6月22日(土)
公式サイト:http://micromagazine.net/kotonohabunko/detail/gokusai.php
発行:(株)マイクロマガジン社
定価:756円[本体 700円+税]
(c)Mio 2019 (c)MICRO MAGAZINE 2019

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