ランドセルのCMが始まれば「もうすぐ夏休み(お盆で帰省)なんだなあ」とか、マロニーちゃんのCMを見れば「鍋の季節なんだなあ」とか、特撮モノでロボットが全部出てくる回があれば「ああ。もうすぐクリスマス(商戦)なんだな」とか、それによって季節の訪れを感じるものがあります。
手羽にとって年末を感じるものが三つあり、ひとつはユニコーンの「雪が降る町」が街に流れ始め出した時、二つ目がぴぴび版裏紅白出場者が発表された時です。
そして、もうひとつが、ある女性が活動を始めた時。
彼女からメールやDMが届くと、
「ああ。もう年末だなあ・・年賀状、そろそろ考えなくちゃなあ・・。今年の汚れ、今年のうちにだなあ」
と反射的に思うようになりました。
彼女の名前は森 須磨子。通称モリスマ。
一文字しか略せていない非効率な通称を持つ女で、ムサビ大学院を修了後、芸術文化学科立ち上げ時の初代助手さんでもあります。
卒業制作をきっかけにしめ飾りに魅了され、現在は日本で唯一の「しめ飾り研究家」として活躍されてます。
あ、しめ飾りとは皆さんもご存知、正月の玄関に飾るアレです。もともと、しめ縄の文化から発生したのがしめ飾りだそう。
「へ?しめ飾り?何言ってるの。あんなの全国どこでも同じでしょうに」と思うでしょ?でしょ?
私も最初はそうでした。
でも、地方によって、もしくは山を一個超えるだけでも形が全然違うんです。私達が思っている以上に民俗学的で奥深い世界があるんですね。
モリスマは2010年にこういう本を出しました。
■しめかざり (たくさんのふしぎ傑作集)
児童書ですが読みやすいので導入編としてはおススメ。
また、2017年には
■しめかざり—新年の願いを結ぶかたち
モリスマが撮りためた写真がふんだんに掲載された本も出してて、各地のしめかざり探訪記も書かれてます。
日本人なら1家に1冊ほしい。
展示系だと、2014年に21_21 DESIGN SIGHTでの「米展」展示協力、2015年は良品計画でのしめ飾りアドバイザー業務等もされてたりします。
また、ムサビにしめ飾りコレクション269点と関連資料を寄贈したことで、2017年にはムサビ民俗資料室ギャラリーで展覧会も開催しています。
■民俗資料室ギャラリー展示(25)
しめかざり祈りと形
しめ飾りはMUJIcom 武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパスに向いてる展示だと思うんだけど、どうですかね?>関係者の皆さん
なおかつ、2018年1月にはあの「天声人語」でモリスマさんが紹介されたり、
■(天声人語)しめ飾りを究める
12月にはあの「美の壺」に結構長く登場してました。
■NHKBSプレミアム美の壺「新年を彩る お正月飾り」
2020年秋には某所で大々的な「しめかざり展2020」を計画中らしいです。
そうなんです。
日本で「しめ飾り」と言えば、間違いなくモリスマなのです!(ドーン)
今もあちこちで講演会やワークショップやってて、最近だと10月26日に飯南町大しめなわ創作館5周年イベントで記念講演もやってます。
出雲大社の大しめ縄を製作している専門家の皆さんの前で講演するって、例えるなら手羽が永井一正先生の前で「デザインとは」みたいな話をするってことでしょ?・・ちょっとできない・・。個人的には「芋づるフェスタ」が気になってます。芋づる。
冒頭に書いたとおり、地域によって全然しめ飾りは形が変わるので、「こんなの普通でしょ」と思っても、地方に行ったらしめ飾りの写真を撮ってぜひモリスマさんの活動を応援してあげてください。
ただ、最近問題があって。。
「しめ飾りって面白いんだな」と社会に認知されてきて、年々モリスマの活動時期が早くなってるんですよ。。
最近は8月ぐらいに「そろそろ年末ですね」とメール来ちゃうし。。
日本で一番年末年始を楽しみにしてる人間かもしれないけど、8月に「 餅の準備は済みましたか?」と連絡よこすのやめてほしい・・こっちにも気持ちの準備ってものがさ。
以上、今年の紅白はOfficial髭男dismとKing Gnuの出場が固いとしても、NHK貢献枠でスピッツが出るんじゃないかとワクワクしてる手羽がお送りいたしました。
NHKといえば、いだてんが面白くなってきましたね。クドカンの伏線回収力というか予言力というか、歴史は繰り返すというか。
【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。