手羽は出来たばかり・・いや、もうすぐ完成する
千葉大学 墨田サテライトキャンパスに行ってきました。
これまでの話はこちら。
■千葉大学 工学部 デザインコース「意匠展2021」@墨田キャンパスに行ってきた1
WEBで事前予約をする時に「おっ!」と3つ気が付いたことがありまして。
1つ目は「おっ!会場が噂の墨田キャンパスだ!」ということ。
2つ目は注釈文。こう書いてあったんです。
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※事前予約をされていない場合でも、当日枠で入場することが可能です。
※事前予約の方を優先してご案内するため、当日枠の方は混雑状況によりお待ちいただく場合がございます。
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他大学のコロナ対応をチェックしてきたけど、「そうそう。これでいいんだよな」と(笑)
座席数が決まってる事前予約であれば、かなり厳密に運営をする必要があります。
でも入場混雑緩和のための事前予約であれば、目標数を多少超えたところで大きな問題はないのだけど、それだと「中途半端な対応だ!」と怒られるから「予約数超えたらお断りしてます」と対応するしかなく、お互いアンハッピーな結果になる。
事前予約制をやってきたイベント運営側の葛藤はここだったろうし、こうなることが嫌で事前予約をやらなかったところも多いはず。
「事前予約しなくても入れるけど、してる方がスムーズに入れます」という表現は、中途半端なようでいて「なぜコロナ対策としての事前予約制をしてるか」が書かれてるし、人数コントロールの機能も果たしている。
全てお断りパターンは「0 or 1」の機械的な選択ですが、千葉大さんのやり方は簡単なことだけど「こんなの0か1かの対応は無理っすよ」と運営側がいいたいことをうまく表現し、デザイン教育機関らしい、お互いハッピーになれる解決策を提示してる気がするんですよね。
手羽が今年事前予約イベントやる時はこの文言使わせてもらおう(笑)
そして3つ目が「やってるのは意匠展だけじゃないんだ」ということ。
千葉大学 工学部 総合工学科の建築コースと都市環境システムコース、そして園芸学部 緑地環境学科 環境造園学コースの卒業研究・制作展も5階で開催してたんです。
これまで園芸学部緑地環境学科「ランドスケープ展2021」、都市環境システム学科「と展」、そしてデザイン学科「意匠展」等とバラバラにやってきた卒展を、今年初めて4学科コース合同でやることになったよう。
なのでタイトルで「意匠展に行ってきた」と書いてるけど、本当は「4学科合同卒展に行ってきた」が正しいです。
最初「来年度が100周年だし、ちゃんと建物が完成した来年合同展やればいいのに。なんで待てなかったんだろ」と思ったけど、「工学部●●学科」を「総合工学科●●コース」と学部改組した最初の学年の卒展なんですね。
そりゃ無理やりでも今年合同でやる意味はありますな。
右半分(フロアマップ的には「コモンスタジオ」)を建築系で使う形。
複数の学科・コースが混ざってるのもそうですが、工学部・園芸学部と2つの学部が一緒に何かやるのって多分調整が大変だったはず。
「そうか、都市環境システムってこういう研究も含まれるんだな」と感じた論文。
模型やパネルのレベル、面白さだとムサビ建築学科と空デ、タマビ環境デザイン学科の方が確実に上だけど、「都市」「環境システム」の解釈をもっと広く研究されてる印象。すごく勉強になりました。
見てて「へー」と思ったのが、
総合資格学院が「アンケートに答えたら本をプレゼント!」とされてて、後で調べると建築学科の卒展など設計展・建築系イベントの特別協賛・サポートをしてるんですね。
高校生たちがかなり真剣にアンケートを答えてた。
さーて、お待たせしました。ようやく本題です(笑)
■2020年度 千葉大学 工学部 総合工学科 デザインコース 卒業研究・制作展「意匠展2021」
●会期:2021年3月19日(金)~21日(日)
●時間:11:00~19:00
●会場:千葉大学墨田サテライトキャンパス 4,5階
千葉大デザイン学科の意匠展はできるだけ見に行くようにしてます。
というのも、企業のデザイン部長とかクリエイター職の偉いポジションはちょっと前までは藝大ムサタマ卒で占めてたけど、最近は千葉大工学部出身の方がかなり増えてきてる気がするんですよね。
美大・美術学部以外で手羽が一番注視してるのが千葉大のデザイン学科で。
しかし、この空間、面白いなあ。
4,5階ブチ抜きになってて、実際の展示グランドラインは4階になります。
リノベーションすると階段つけるのが今の流行りなのかな?
ちなみにここは「イノベーションアトリエ」と名称がついています。
「こういう使い方されたら、先にやられたら嫌だなあ・・」と思うものがあるけど、単に展示をする場所みたいなのでとりあえず安心。あ、それが何かは書きません(笑)
恐らく以前は体育館だったところで、
確実な体育館の痕跡発見。
デザインコースは、プロダクトデザイン、環境デザイン、グラフィックデザイン、カーデザインの領域を根幹として学び、4年次からは製品デザイン、システムプランニング、デザインマネージメント、材料計画、意匠形態、コミュニケーションデザイン、人間情報科学、デザイン心理学、コマーシャルデザイン、環境デザイン、人間生活工学、デザイン文化計画、コンテクスチュアルデザイン、サステナブルデザインの14の研究室に分かれ専門的に研究します。
展示も研究室単位でまとまってる。
展示台。
去年ぐらいから急にテンセグリティなものを見る機会が増えましたね。
個人的に気になったのはこの研究かな。
同じようなことを書きますが、正直タマグラやムサビ視デ、プロダクトやIDの方がコンセプトの立て方やアウトプットが全然上だと思います。でも「幅広くしっかり研究されてるなあ。そりゃ企業が採用したくなるわな」という印象を受けました。
例えば「医療と芸術の融合」だと、美大ならアート作品を壁に展示するか、車いす・義足・介護ロボットのプロダクトデザインか病院のサインか、福祉サービス提案・・ぐらいだけど、千葉大はかなり具体的な研究・検証作品があったり、大きな社会システムの提案で、「ああ。ここまでのものは美大卒展ではあまり見ないかも」と。
「社会を幸せにしたい人」はムサビやタマビ、「社会の役に立ちたい人」は千葉大・・の違いなのかもしれない。
展示は本日までで、トークイベントがオープンスペースで開催されてます。
■DAY1 | 3月20日 12:00~13:30
■DAY2 | 3月21日 14:00~15:30
Youtube LIVEでの配信もあり、アーカイブは3/28まで視聴できるそうなので、あせることはないっす。
「オープンスペース」とは、
こういう場所にあり、窓の向こうに屋上の「スカイツリーテラス」へ上がる階段があります。
「この角川武蔵野ミュージアムみたいな形はなんだろ?・・ん。フタがある・・てことは」とあけてみたら、予想通り流しでした。
こういう場所のキッチンはマストですな。
スカイツリー、情報経営イノベーション専門職大学(iU)との配置関係はこんな感じ。
ちなみに墨田サテライトキャンパスには学食を作らず、iUの学食を使わせてもらうそうです。
そこにいた学生さんに聞いた話だと、ベタで特定の学科生がここを使うわけじゃなく、演習実習の一部だったり、留学生向けのショートプログラム、企業向けリカレントプログラム、高大接続授業などを実施する場所になるから、学食はいらなかったよう。
でも現在、公民学連携組織「アーバンデザインセンターすみだ(UDCすみだ)」の設立に向け、準備が進んでます。
これから「自治体・企業・大学のデザイン連携」といえば「墨田」の名前を多く聞くようになるのかもしれません。
以上、まずはiUとdriのイベント日程を調整した方がいいかもしれないっすね、の手羽がお送りいたしました。
オーキャンや展示の日程ができるだけかぶってる方がお互いメリットがあるんじゃないかと。
【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。