去年はコロナで中止になってしまったムサビ生限定の募集。
「このワークショップは直接お互いが話をすることに意味があるよね」と教員の考えが一致し、今年は対策取りながら対面でやることになりましたっ!!
■東京工業大学との合同ワークショップ「コンセプト・デザイニング2021」
●日時:2021年7月26日(月)-31日(土)15:30-19:00の6日間
●会場:DNP市ヶ谷田町ビル コラボレーションゾーン(東京メトロ市ヶ谷駅6番出口より徒歩1分、JR市ヶ谷駅より徒歩5分)
●対象:学部3年生以上、大学院生 ※ファインアート系の学生も大歓迎!
●募集人数:12名 ※ 希望者多数の場合、抽選
●参加条件:
・6日間すべてに参加可能な方
・時間外に制作等を行うことがあるため、終日予定が入っていない方
・記録撮影及び写真利用に問題がない方
●申込方法:メールにて受付。
件名に「東工大合同WS参加希望(自分の名前)」と入れ、本文に
(1)学生番号 (2)学科/コース・学年 (3)名前(ふりがな) (4)性別 (5)電話番号・メールアドレス (6)アピールコメント
を記入の上、 [email protected] まで送信してください
●募集期間:6月13日(日)23:59まで
●採用発表:採用者にのみ、6月22日(火)23:59までにメールにて通知します
●主催:東京工業大学サイエンス&アートLab Creative Flow、武蔵野美術大学社会連携チーム
●担当教員:
・東京工業大学 野原佳代子教授(環境・社会理工学院)
・武蔵野美術大学 袴田京太朗教授(油絵学科油絵専攻)、古堅真彦教授(視覚伝達デザイン学科)
●学内問い合わせ先:社会連携チーム
東京工業大学(以下東工大)と武蔵野美術大学は、「論理展開力を持ったアーティスト育成」「デザイン感性を持ったエンジニア育成」を目指して、教育研究に関する協定を2013年に締結しました。
その締結のきっかけとなったのが、この合同ワークショップ「コンセプト・デザイニング」で、今回でなんと11回目となります。
「コンセプト・デザイニング」は、大学混合編成で進められるグループ型造形ワークショップで、ひとつのテーマ(お題)からコンセプトを構築し、簡単な造形デザインを作りプレゼンというステップをふみます。
「コンセプト・デザイニング」という授業名から、そして「東工大と一緒に」ということもあり、「グループで電子工作やるの?」「ファインアート系は関係ないんでしょ?」「よくあるデザイン思考系のワークショップ?」と思われがちです。
確かに一般的な「理工系と美大の合同授業」だと、「中身やシステムを理系が考え、外側を美大生がオシャレに作る」なステレオタイプ的な手法でやってることが多いかもしれません。
でも言い方変えるならこれって「コンセプトは頭のいい僕たちが作るから、美大さんはガワのデザインだけ考えて」なんですよね。
「●●美大と△△工業大学が締結しました!」と発表してても、やってることは△△工業大学の地味な場所に美大生が作品を展示してるだけだったり、ポスターを美大生が作ってあげることだったりします。
相手が「美術」「デザイン」の本来の意味を理解してくれてない証拠であり、美大も「それでいいや・・うちらバカだし」で終わってることが多いかも。
このワークショップの趣旨はずばり「思考」と「言語」です。
最終アウトプットの完成度はあまり求めていません(いいにこしたことないけど)。
それよりも相互コミュニケーションによって、理工系と美術系では思考や言語の「何が違うのか」または「違わないのか」、 そこから自分に必要なもの、または相手に補完してもらいたいものを感じてほしいと思っています。
この合同WSをずっと担当してきて、東工大生はゴールを設定してあげると圧倒的な力で最適解を見つける能力が優れているし、一方ムサビ生はゴールが存在しない中での自由な発想展開力が優れていることがわかってきました。ただ逆にいうと、ゴールを設定してあげないと東工大生は能力を発揮しにくいし、ムサビ生は制限があると発想力が落ちる傾向も見えてきました。
また、ムサビ生は「絵を描いて考え」で、東工大生は「考えてから絵を描く」と、思考のステップ自体が違うんです。面白いと思いません?
というわけでコンセプト・デザイニングをもっとかみ砕いて説明するなら、「お互いの『違い』を感じつつ、サイエンス思考とデザイン思考とファインアート思考をごちゃまぜにしたクリエイティブ思考を使ったコミュニケーション中心の課題発見・課題解決型授業」となります。
もちろん「美大のデザイン力と理工系の技術力で」という部分も必要なんだけど、それだけで終わるのはもったいないし、「美大生の思考力はかなり優れているし、今社会が必要としてるのはそれじゃね?」というのが私たちのスタンス。
ここまでそれぞれの「思考」を中心においた合同授業は、日本では他にありません。断言できます。
また、「デザイニング」なのにムサビ側はファインアート、デザイン関係なく全学科参加OKだし、教員も視デ・古堅先生と油絵学科の袴田先生に担当してもらってます。「デザイン系とファインアート系の教員が同じワークショップを担当する」というのは他美大では意外と難しく、たぶんタマビではできないはずで(笑)、これをやれるのがムサビの強みだったりします。
なのでファインアート生も大歓迎!!
現在、理工系大学を中心にいろんな大学が「どうやったらデザイン思考やアート思考を取り入れられるか?」を必死に研究しています。
東工大さんもそうですが、東大然り、京大然り、九大然り、SFC然り、東海大然り、法政大然り、中央大然り、芝浦工大然り、千葉工業大然り、電通大然り。
でも美大からすると「え。これまで普通にやってたこれがそうなの?」で、手羽も何度か理工系大学院がやってるデザイン思考ワークショップ発表会を見学したことありますが、「ステップ」「型」の勉強してるだけで「型は大事だけど、それだけ学んで使い物になるの?」と感じたことが少々・・。
この手のワークショップだと通常のテーマは「●●で社会問題を解決しなさい」「●の社会問題を」だったり具体的なものになると思いますが、先ほど書いたとおり「コミュニケーション」「展開」「発想の飛躍」「思考と言語の違いを感じてもらう」のが目的なので、あえてコンセプト・デザイニングではフワフワしたお題を出すようにしています。
ここ数年のお題をピックアップすると、「想いが伝わるラブレター」「オトナとコドモ」「くりかえす」「ながいもの」「恋」「鏡」「右 左」など全然社会問題を解決できるようなテーマじゃありません。理工系な考えだと「なんでそんな役に立たないことを真剣に考えなくちゃいけないんだ?!」だと思います(笑)
例えば、テーマが「右 左」と聞いて「右利き 左利き」にたどりつき「左利きに便利な道具を作る」「左利きの気持ちになれる道具」みたいなところで終わったら、一般大学の通常課題レベル。そこから更に粘って連想ゲームすることを求められるのがこのワークショップの醍醐味。
今回は大日本印刷(DNP)さんにご協力をいただき、市ヶ谷キャンパスから徒歩2分ぐらいのところにあるDNP市ヶ谷田町ビルで開催することになりました。
資材提供もしていただくことになっており、途中時間があればDNPさんの内部見学も考えています。
DNPさん、本当にありがとうございます!!
てなわけで、やらない理由が全く思いつかないこのコンセプト・デザイニング。
ハードルがあるとすれば、「かなりハードなワークショップであること」なのと、(開催されれば)オリンピックと日程がかぶってるくらい。
ムサビ生はすぐに申し込むんだ!!
以上、
1号館下ではいろいろ社会連携系やバイト募集かかってるんでチェックした方がいいよ、の手羽がお送りいたしました。
【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。